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NO.53 水間寺 貝塚市(138頁)
集英社発行『神と仏の道を歩く』巡礼の道公式ガイドブック
昨年の春、短い製作期間内で150点の細密画を28名の画家が分担して制作
をしました。そのうち私は上記作品を含めて15点を担当しました。
この作業を振り返って見ますと、一番使用した鉛筆は[2H]でした。
そこで、今回は、何故、[2H]なのかについて、そのうちの一つの話題
「線引き」についてをお話をしてみましょう。
はじめに、HBと2Hと4Hの3種類の鉛筆で、色々な「線」を描いてみてく
ださい。そして、出来上がりの線の違いと、描いている時の手ごたえの違
いを確認してみて下さい。
「HB」は3種の鉛筆のうちで一番柔らかいため、太目の柔らかい長い線を
すばやく描けます。しかしその反面芯の先は減りやすくすぐ太くなります。
従って、線はどんどん太い線になりがちです。
「4H]はその反対で3種の鉛筆の中では、一番硬いので、細い線を描くこ
とが出来ます。また芯は比較的減りにくいので、ほぼ同じ幅の線を比較的
長い間、描けます。
しかし、硬い鉛筆での線引きは、時間が掛かかるのと、うっかりすると紙
面に芯の跡を残しがちです。絵が台無しになりがちです。
以上を念頭に、今度は「2H」で「線引き」を試みてください。
2Hの場合、鉛筆の芯を鋭く研げばそれなりに細く線が描けます。
又、同じ2Hの芯でも、少々太めに研げば、それなりに太い線が描けます。
他の鉛筆と比較すると、この太さと細さの差は2Hの場合は幾分大きい方です。
有効に使用できる太さと細さとの幅の違いが広いともいいます。
制作を急ぐ場合、この幅の違いを有効に利用することはとても大切です。
2Hの芯の減る早さは、HBと4Hの中間です。4Hよりは早めに減ります。
それだけに、4Hと同じ太さで線を引きつずけるには、如何に芯の太さを調
整するか、言い換えれば「芯の削り方」をどうするかが問題になります。
鉛筆の芯の削り方【鉛筆写実画入門15頁に詳しい説明があります】
紙ヤスリを利用します。はじめに、大体ナイフで芯の先を削ります。
紙ヤスリを約4cmX7cmの袋にして、芯の先を袋の中に入れて仕上げ削りを
します。
紙ヤスリは150番、240番、600番の3種類を使い分けをします。
150番の紙ヤスリの場合は、ざらざらした感じで仕上がりますので、比較
的太目の柔らかい線引きが出来ます。
600番の場合は150番と比較すると、滑らかでツルツルした硬い感じの仕上
がりになります。同じ2Hでも紙ヤスリを代えると、細く鋭い線が書け
ることを確認してください。
引きたい線の太さに合わせて、紙ヤスリを選んで、使い分けることを色々
と工夫してみてください。最終的には紙ヤスリを利用して、どんな太さの
線でも短時間で出来るだけ同じ太さの線引きができるように工夫します。
建築設計の設計図や写真修整の場合は、4H〜7Hの硬質鉛筆を使用して時間を
充分に掛けて作業をします。線引きはあくまでも同じ太さを原則としていま
す。しかも、安定した美しい線引きを目標にします。
鉛筆画でも線引きの本格的な作品となりますと、数ヶ月あるいは数年の長い
製作期間をかけた、統一された美しい線引きが見られます。
作品例としては、田渕俊夫先生の「故宮」「旅の窓から、運河」「刻
(一の酉)」【鉛筆画スペシャルの66頁、67頁、68頁を参照してください】
2Hの今回のもう一つの働きとして、面の描き方があります。
芯を普通研ぎにして、鉛筆を、画面とすれすれまで倒します。そして、芯の
先端ではなく芯の横の部分で広い幅で描けるように工夫します。
この作業の連続で、広い画面を出来るだけ短時間で塗りつぶす事ができます。
勿論、この方法は粗い作業ですので、仕上げ面にするには、多少の修整作業
が必要です。それでも、作業時間を短くして、しかも鉛筆画らしい美しい面
を描く事ができます。
以上制作の参考になれば、幸いです。
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